明日からの嵐の前の静けさというのでしょうか。

怒涛の5日間を前に(失礼)
前から書きたいと思っていた記事を書きます。

オアハカのアレブリヘスについてです、あまり専門的な内容では
ないですが、アタシが話を聞いて感じたことを書きたいと思います。


元々、アレブリヘスという呼び方をされてはいなかった
artesanias de madera

近年では、ひとくくりにアレブリヘスと広く呼ばれています。


歴史的には、民芸品として作られるようになったのは
1960年代前後あたり。

オアハカから車で40分の
サンマルティン・ティルカヘッテ村では、

昔からある木彫りの子供のお守りや
カーニバルのお面作りが進化し、観光の販売用に
木彫りの民芸品が売られる様になったとか

このお面作りや木彫りで有名なのが
イシドロ・クルース氏です。

まだ、現時点ではイシドロ氏の工房を訪問していないので、
今後是非お話を聞いてみたいと思ってます。

また、昔は小さいものだった木工製品が、大きい置物になり
近年コパルの木が減少。

現在は、コパルの木の植林をしながら、
コパルの木が絶えないようにしています。

写真は去年 植林に参加したもの。

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オアハカから車で20分ほどのアラソラ村でも
アレブリヘスが作られています。

ここのアレブリヘスの巨匠が マニュエル・ヒメネス氏 

すでに他界され、現在はその息子さんや血族の方が
ヒメネス氏のスタイルを作り続けています。

この村では、コパルの減少に伴い、最近では杉の木を利用しています。

杉は長いこと乾燥させなくてもいいと聞きました、また、コパルのように
甘い木ではないので、虫がつきにくいというのです。

もちろん、数は少ないながらコパルの木の作品も生産しています。


サンマルティン・ティルカヘッテ村とアラソラ村は
1村1品という形で、村規模でアレブリヘスが生産されているに対して。



ラ・ウニオン・テハルパン村では、

一家族だけがアレブリヘスを作っていると感じました。

マルティン・サンティアゴ氏の一家です。


ラ・ウニオン村はオアハカから約40分の郊外。

本当に大自然に囲まれて、多くの方が農作業に携わっている村です。

その中で、サンティアゴ一家が黙々とアレブリヘスを作り続けています。
最近では、木の減少により、ハカランダの木を彫りに使っています。

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工房(お家の近く)はこんな風景です。

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サンティアゴ氏

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サンティアゴファミリーについては
こちらの サイト で紹介しています。

彼らいわく、ハカランダの木は乾燥する必要がなく、(すでに乾いているらしい)
彫りもしやすく、軽く、その後は亀裂が入ったり、
虫がわいたりしない優れた素材だからとお聞きしました。

実際、長いこと自分の手元にハカランダの素材のアレブリヘスを置いておいた
試しがないので真実はわかりません。

サンティアゴ一家とアラソラ村のヒメネス一家は大体同じ時期に
木彫りを作り売り始めています。

これは、モンテアルバンの発掘と観光地として開放されたことから
オアハカへくる観光客向けに売り始めた時期だったからだと思われます。

また、同時期に海外のフォーク・クラフト愛好家に注目されています。

その時期は、アメリカなどのフォーク・クラフトの収集家がこぞってオアハカで
民芸品を購入していたようです。

その動きは、オアハカの木彫り職人を 
現在の巨匠の地位にまで押し上げました。


その代表がアラソラ村の マニュエル・ヒメネス氏です。

オアハカの市内で出会ったアメリカ人に作品を見初められ、
その後、その愛好家へ作品の多くを販売しています。

はじめは色のなかった木彫りに着色するようにお願いしたのも
マニュエル・ヒメネス氏の作品を愛した
アメリカ人のアルトゥーロ・エメトレン氏です。

そして、元々の木彫りの才能を認めれ、海外でも高く評価されました。

その評価が、1978年ヨーロッパのドキュメンタリー監督の目にとまり
彼のドキュメント映画が作られ、その後ロスの博物館へ招待されたり
世界各国へ招待を受けたりと

Gran Maestro de las tallas de Madera Animales Fsntasticos の

巨匠の称号を受けたそうです。

アレブリヘスが空想上のファンタスティックな生き物を示していますが、

彼が作ったのものはAnimales Fsntasticosファンタジックな動物たちということで
実際、赤いアルマジロや青い牛は存在しなかったから、色とりどりの動物を
Animales Fsntasticos と呼んだそうです。

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動物の毛をデフォルメして緻密に書き上げているこのスタイルを
TIPO TRADICIONAL(伝統的タイプ)と呼んでいました。


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これは杉の木。


 
そして、メキシコではまったく評価を受けていなかったヒメネス氏も
海外での評価とともに、メキシコ国内でも高い評価を受けるようになりました。


現在は息子のアンヘリコさんがオアハカの巨匠本で紹介されています。


なんかね。メキシコってそういうとこあるよね~~~と、思う部分は、
元々メキシコにあるもを自国が高く評価しきれていないと感じます。

たとえば、アレブリヘスの巨匠として海外や外国人に評価されると
それを受け入れ、メキシコ国内でも持ち上げるという感じも受けますが。

それぞれの村に特徴や現在までの独特の流れがあり
その背景を知ることは大変興味深いです。

特にアタシにとって印象的なのは、
ラ・ウニオン村のサンティアゴ一家でした。

この村では本当に彼の一族だけですよ、
アレブリヘスを製作しているのは。

その後、事務所に作品をもってきてくれたので
このような作品が さる屋の事務所でみれます。

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現在も、各村ごとで製作されているオアハカのアレブリヘスたち。


歴史や流れを知ることで

もっともっと、村や作り手さん、作品に興味が沸いてきました。